Fragile~思い出に変わるまで〜
確かにきちんと向き合って話すこともなかった。


桜井にあんな偉そうに言ったくせに、俺も変わんないな……


そう思いながら、小さくため息をつくと、自分の不甲斐なさに呆れる。


そんなことを考えながら歩いていると、いつの間にか自宅のマンションに到着していた。


今日はきちんとさとみの顔を見て話をしよう。


心の中で決めて、エレベーターに乗り込む。


だけど……


今日、昼に藤森に会ったことは言わない方がいいのかもしれない。


どうせ日曜に元旦那とのことがはっきりすれば、もう藤森のことでさとみに嫌な思いをさせずにすむ。


だからこれ以上、余計な心配をさせる必要はないと思った。


でも本当はそれだけじゃないのかもしれない。

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