Fragile~思い出に変わるまで〜
何かの記念日だっただろうかと勘違いするくらい、テーブルにところせましと並べられた料理。


おまけにワインまで用意してあり、グラスを持つようにすすめてきた。


気後れしながら言われるままにグラスを持つと、さとみがすかさずワインを注いでくる。


自分のグラスにも注ぎ終えると、「乾杯!」と言いながら俺のグラスに自分のグラスを軽く当てた。


「……やっぱりなんかあった?」


あまりにも不自然すぎて、おずおずと尋ねる。


するとさとみは可笑しそうに俺の顔を見て、急にかしこまったように背筋を伸ばした


「最近ね?私ずっと眉間に皺寄せた顔してたかなって反省したの……

こんな暗い雰囲気じゃ健も声かけずらいよなって

だから大袈裟だけど、今日は自分の新たな出発記念日……みたいな?」

< 219 / 589 >

この作品をシェア

pagetop