Fragile~思い出に変わるまで〜
「いや、とりあえず実家に預かってもらうみたいだよ?

大人の話し合いだから、怖い思いさせちゃうといけないから」


それはそのまま、藤森に言われた台詞だ。


なんとなく違和感はあったものの、俺はその台詞に納得していた。


だからそれを聞いたさとみが驚いた顔をしたとき、俺の中を妙な不安感が襲った。


「前から……思ってたんだけど……」


言いづらそうに口を開いたさとみが、一旦言葉を切る。


「旦那さんて、娘さんが赤ちゃんのときに別れたんだよね?」


いまさら何を聞きたいのかが分からずに、俺はとりあえず頷いた。


「今日も娘さん連れていかないみたいだし、この2ヶ月……

日曜のたびに会って、娘さんと仲良くなる意味って……あったの?」


「――っ!」


初めて、確かにそうかもしれないと思った。

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