Fragile~思い出に変わるまで〜
俺はさとみが納得してくれたことに安堵しながら、さっき彼女に言われた言葉を頭の中で考えていた。


子供抜きで話し合うなら、確かに元旦那に会って、うまく嘘をつけばいいことだ。


藤森はなぜひなと出かけることにこだわったんだろう?


しかも一度や二度じゃない。


日曜のたびに何度も、三人で……


しかも遠出までしていた。


ただ、なつかせようとするだけなら、近くの公園でもどこでも良かったはずだ。


藤森は、俺と三人で出掛けることを、楽しんでいるようにも見えた。


ただ、元旦那を納得させるためには見えない。


そこまで考えて、健は考えるのをやめた。


終わってしまったことを考えても仕方がない。


さっきさとみに自分が説明したじゃないか……


それが理由なんだ。


そう自分を納得させると、俺は頭に残る疑問を必死に打ち消した。


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