Fragile~思い出に変わるまで〜
「俺も楽しかったし、ひなのこともほんとに可愛かったよ

でもだからといって本来の目的を達成した今、これからも同じようにっていうわけにはいかない

ごめん……」


しっかりしないと藤森への情に流されそうになる自分がいる。


だからこそあえてはっきりと自分の口からできないと伝えた。


まるで自分自身に言い聞かせているかのように……


藤森は少し寂しそうに笑ったあと、ふいに俺の手に自分の手を重ねてきた。


びっくりして手を引っ込めようとすると、しっかり握りしめられる。


俺は振り払うことも出来ずに、されるがままになっていた。


彼女はギュッと手をにぎりしめたまま、静かに口を開く。


「健……
ほんとに今までありがとう

少しの間だったけど、私もひなも幸せだったよ?」


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