Fragile~思い出に変わるまで〜
家につくと、すぐにエアコンのスイッチを入れる。
あぁ……生き返る。
心地よい温度になるまでしばらく涼んでから、私は夕食の支度にとりかかった。
今夜は健の好きな中華にしよう。
そう決めて、茄子の味噌炒め、エビチリ、春雨サラダ、野菜スープを作りはじめる。
「ただいま」
健がリビングに顔を出してそう言った。
「おかえりぃ
早かったね?
今、作りはじめたとこだからもう少し待っててね?」
予定より早い帰宅に慌てていると、健は大丈夫というように頷いた。
「今日は珍しく早く帰れたんだよ
今日は中華?
腹減ってきたなぁ」
嬉しそうな顔で鼻をヒクヒクさせている健を見ていると、昔に戻ったような気がする。
「うん、健の好きな茄子の味噌炒めとエビチリだよ?」
そう言うと、まじ?やった、と子供のようにはしゃいだ。