Fragile~思い出に変わるまで〜
そんな健が私は好きだった。


いつも私の料理を喜んでくれるところ。


作ってる間に健は着替えて、ソファーでテレビを見てる。


もうすぐ出来るという時になって、ふいに健の携帯が鳴ったのが聞こえた。


キッチンからチラッと健の様子を伺う。


健が携帯を開くと、どうやら着信だったらしい。


少し躊躇ってから、受話器に耳を当てた。


「……もしもし?どうした?

うん……うん……

あぁ、そうなんだ

……わかった、すぐ行くから

大丈夫、落ち着けって!

待ってろよ?じゃあ……」


電話を切ってすぐには、健は私に事情を話さなかった。


会社からだったとしたら、いつもならすぐに話してくれるのに……


難しい顔をして考え込む彼は、私にどう話をしようか考えてるようにも見えた。


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