Fragile~思い出に変わるまで〜
きっと、藤森さんだ……


なぜだかわからないけど、そう確信する。


健があんな顔をするとき、決まって彼女のことだからかもしれない。


嫌な予感がした。


「……どう…したの?」


いつまで経っても何も言わない健に、仕方なく私は声をかけた。


その声にハッとしたように、彼はこちらに顔を向ける。


それから申し訳なさそうな顔をして、私にゆっくり近づいてきた。


「電話……

藤森からだったんだけど……

泣きながらテンパってて…さ……

ひなが熱出して吐いてるみたいで……

どうしたらいいかわからないって興奮してるんだよ

ごめん、もう会わないって言ったのに……

俺、心配で……

すぐ行くって言っちゃったんだ」


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