Fragile~思い出に変わるまで〜
すぐに藤森が出てきて、ドアを開けてくれた。


もしかしたら、近くで待っていたのかもしれない。


「健……

来てくれてありがとう……入って?」


彼女は真っ赤な目をして憔悴しきったような顔をしてる。


俺は頷いて言われるまま部屋に入った。


二間続きの奥の部屋に、ひなは寝かされていた。

静かに布団に近づくと、かなり苦しそうな顔をしている。


汗で張り付いた髪の毛を避けながら、そっと額に手を当てた。


確かにかなり熱があるみたいだ。


俺は藤森を振り返って、聞いてみる。


「薬は飲ませた?」


おろおろしながら藤森は、首を横に振る。


どうやら今まで病気らしい病気をしたことがなかったらしい。


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