Fragile~思い出に変わるまで〜
それから1時間後――
みんな酒が入ってどんどん盛り上がる中、俺は一人だけ烏龍茶でがんばっていた。
「健!お前なんで呑まねんだよぉ」
案の定、酔っ払いが何人も絡んでくる。
「呑んでもいいけど、俺寝ちゃうよ?」
そう言って、俺はそいつらをその都度かわしていく。
実際、俺は酒が弱く若い頃は勢いで呑んだこともあったが、ここ10年くらい呑んでいない。
一度、意識を無くしてどこかに頭をぶつけたらしく、起きたら血だらけになっていたことがあり、それから怖くて呑めなくなっていたのだ。
まぁ呑めなくても、中学の頃から盛り上げ役だった俺は、シラフにも関わらず一番騒いでいたんだから、なんの問題もないんだけれど。