Fragile~思い出に変わるまで〜
「はぁ……」
病院を出て家に帰る車の中で、俺は何度もため息をついた。
頭の中でさとみと藤森の泣き顔が交互に浮かんでは消える。
俺は何をやってるんだろう?
結局、さとみにも藤森にも悲しい思いをさせることになってしまった。
ひなのためにかけつけたことは後悔していない。
でもそのせいで、さとみを深く傷つけてしまったことは確かだ。
藤森にだって……
思わせぶりな態度になっていたのかもしれない。
キスまでしといて、今さらだけど……
さとみはずっと俺だけを見てくれていて、俺にとっては安心できる存在だった。
逆に藤森は俺に頼ってばかりで、目が離せない。
彼女が俺を必要としてるってことはなんとなくわかっていた。