Fragile~思い出に変わるまで〜
でもまたひなのことで呼ばれたら?


そのとき俺はそれを拒否出来るのか、自信がない。


そしてそれを拒否できなかった時のさとみのショックは、図り知れないだろう。


これ以上さとみを傷つけたくないと思う一方で、はっきり藤森親子を切ることができない自分に憤りを感じる。


俺に今出来ることといえば、正直な気持ちをさとみに伝えることしかないのかもしれない。


さとみならきっとそんな気持ちをわかってくれるような気がした。


いつだってさとみは俺を受け入れて包みこんでくれていたから……


そんな甘い考えを抱きながら、俺はようやく車を降りて自宅へと向かった。


鍵を開けて玄関から真っ直ぐビングに向かって扉を開けると、さとみがキッチンから顔を出した。


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