Fragile~思い出に変わるまで〜
シンプルなデザインのピンクとブルーの色ちがい。


二人で選んだ思い出の品。


テーブルにそれぞれのカップを置くと、彼女は俺の向かい側にポスンと腰を下ろした。


「ひなちゃん……

大丈夫だったの?」


コーヒーの湯気が立ち上るカップを両手で包みこみながら、さとみはそう聞いた。


そういえばきちんと報告してなかったっけと、俺は軽い気持ちで質問に答えた。


それにさとみが心配してくれてたことも嬉しかった。


「あぁ、とりあえず大丈夫

胃腸炎からくる風邪だったみたいで、脱水症状起こしかけてた……

今夜一晩入院して点滴すれば大丈夫だろうってさ

あのまま放っといたら危なかったみたいだから、行ってよかったよ」


ひなのために行ったんだということを強調するように、俺はそう言った。

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