Fragile~思い出に変わるまで〜
ひなが助かったのは自分が駆けつけたからだと、さとみにもわかってほしかった。


だからあえてもう一度、行って良かったと伝える。


彼女は唇を引き結んで、じっと話を聞いていたけれど、やがてゆっくりと口を開いた。


「うん、よくわかった

ひなちゃんにとっても……
藤森さん…にとっても……

健が必要なんだってことが……」


俺が……必要?


さとみの言ってる意味がよくわからなかった。


確かに藤森には誰かがついてなきゃダメかもしれないが、それは俺じゃなくてもいい。


ひなに関して何かあれば、少しは助けになりたいとは思うけれどそれだけだ。


さとみはいったん目をそらして俯いたあと、再び意を決したように俺の目を真っ直ぐに見据えて言った。

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