Fragile~思い出に変わるまで〜
「ひなちゃんも藤森さんも、もう健がいないとダメなんだよ

健の存在がそれだけあの親子の中で大きくなっちゃってる……

健もそうなんじゃないの?

俺がいなきゃって思ったこと……ない?」


俺はさとみが何を言いたいのかが全然わからなくて、さとみの言葉を頭の中でもう一度リピートさせる。


『俺がいなきゃって思ったこと……ない?』


確かについさっき病院でそう思った。


でもだからなんだって言うんだ?


それは俺じゃなくてもいい話で、今は一番近くにいるからそう思っただけだ。


さとみは何を言おうとしてるんだろう?


俺はだんだん早くなる心臓の音を抑えるように、小さく息を吐きながら答えた。


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