Fragile~思い出に変わるまで〜
「確かにそう思ったことはあるけど……

でもだからってどうすることもできないし……

何かあった時にかけつけることくらいしか……俺に出来ることはないだろ?」


思ったままを伝えると、さとみは泣きそうな顔で俺を見た。


「向こうが健を必要だと思ってて、健も俺がいなきゃって思うなら……」

一度言葉を切って少し迷ったように目を瞑ると、気持ちを落ち着かせるようにゆっくりと息を吐き出す。


そして次の瞬間、覚悟を決めたように目を開くと震える声で呟いた。


「邪魔なのは私なんだよ……」


俺は驚いて、さとみの顔をまじまじと見た。


「な…に……言ってんだよ……」


声が掠れてうまく言葉が出てこない。


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