Fragile~思い出に変わるまで〜
「遅刻しといてずいぶんな言いようじゃない?」


軽く睨むふりをして言い返してみたけど、すぐに吹き出してしまった。


「なんだ、意外と元気そうじゃない

こないだは泣いて電話してきたから心配したんだからね」


そう言いながら椅子に座ると、近くにいた店員さんにアイスコーヒーを頼んだ。


相変わらずテキパキしてるなぁと思いながら、美咲に謝る。


「こないだはごめん
一番辛いときだったからさ……

でももう大丈夫だから」


あのあと私は寝室にこもって美咲に電話をかけた。


健はそんな私を気遣うように、自分はソファーで寝てくれた。


納得なんかしてなかったに違いないけど、私の決心が固いことがわかるとそれきり何も言わなくなくなった。


「ならいいけどさ

で、どうなのよ

健とは離婚成立したの?」


ダイレクトに聞いてくるあたりが美咲らしい。


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