Fragile~思い出に変わるまで〜
「仕事の途中にさ
コンビニ寄ったら、中学の時一緒だったやつに声かけられたんだよ」
「そいつが同窓会の幹事だったらしくて
俺がいつも参加しないから、連絡先教えろって言われてさ」
ハハッと笑いながら、夫は新聞を畳んでようやく私の方を見た。
「それって……男の人?」
思わずそう尋ねると、夫は少しバツが悪そうに歯切れの悪い返事をした。
「いや……」
夫はあまり付き合いのいい方ではない。
友達と遊ぶよりも夫婦で出かけることを選んでくれる。
それ以上に仕事が第一の人ではあったけれど。
そんな彼が久しぶりにコンビニで声をかけられた元同級生の女の子に、ほいほいアドレスを教えたことが意外だった。
同時に、やっぱり夫も男なんだなと妙に納得してしまう。
「へぇ……そうだったんだ……
すごい偶然だね?
同じクラスだったの?」
声が、うわずる。
こんなことで夫を責めるなんて自分が嫌になるけど、それでも気になるものは仕方ない。