Fragile~思い出に変わるまで〜
さっきまで三人で仲良く暮らしてるとばかり思っていたから急に不安になる。


家事も彼の身の回りの世話も、今まで全部私がやってきた。


だから、何がどこにあるかさえわからないかもしれない。


藤森さんが家に入れば、私の代わりをしてくれるって安心してたのに……


一人で暮らす準備もしてあげないまま出てきてしまったことに、罪悪感が生まれた。


黙ったまま考え込んでしまった私を見て、何か変なことを言ってしまったと思ったのか、桜井くんが心配そうに私の顔を覗き込んだ。


「で、でも……仕事はいつも通りこなしてますし、たまたまなのかもしれないですけどね?」


彼が私を気遣ってくれたのがわかって、申し訳ない気持ちになる。


だから私もなんでもないような顔をして、桜井くんが心配しないように明るく返事をした。


< 311 / 589 >

この作品をシェア

pagetop