Fragile~思い出に変わるまで〜
それらを書いた上で、合い鍵を同封して、彼のところに行ってほしいとお願いする文章だった。


お人よし過ぎるのはお互い様なのかな?


健を思いながら、自分のしていることに苦笑する。


でも決して健が嫌いで別れたわけじゃない。


私が藤森さんの存在に怯える生活に堪えられなかっただけだ。


藤森さんには負けたくないと思う半面、健には幸せになってほしかった。


だから私は私の思いを彼女に託したい。


私の分まで健を愛して三人で仲良く暮らしてほしい。


それが今、私に出来る精一杯の健への愛情だった。


私はこの子という存在を得ることが出来たけれど、健は今のままでは失うものばかりだ。


それは私の本意じゃない。


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