Fragile~思い出に変わるまで〜
拝むように顔の前で手を合わせると、美咲は勝ち誇った顔で椅子に座って、近くにいた店員にホットコーヒーを頼んだ。


「で、手紙渡すんだっけ?
あんたも浮気相手にわざわざ旦那を差し出すなんて、おめでたいよねぇ

ほんとにそれでいいの?」


美咲に念を押されて、もう一度自分の胸に聞いてみる。


「うん……大丈夫

馬鹿だと思うだろうけど、健が荒んだ生活してることなんて、私望んでないもん」


美咲は呆れたような顔をして溜め息をついたけど、すぐにおどけたように口を開いた。


「あんたたち二人はほんと似た者同士だわ

似過ぎてダメになることもあるんだね?」


ほんとにそうだ。


似すぎてるから相手のことを考えすぎるのかもしれない。


唯一、美咲が明るく話してくれるから、堕ちていきそうな気持ちが救われる。


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