Fragile~思い出に変わるまで〜
健、大丈夫だったかな?
藤森さんに手紙を託してから、もう半月が経っていた。
美咲は家の前で藤森さんを待ち伏せして、どうにか手紙を渡せたらしい。
でもその後どうなったのかは調べようもなくて、毎日健の心配ばかりしている。
悩んだ末、財布から一枚の名刺を取り出した。
――桜井 純
今までかける事を躊躇していたけれど、もう彼に頼るしかない。
携帯を取り出し、ボタンを押していく。
トゥルルルル……トゥルルルル……トゥルルルル……カチャ
ドキドキしながら携帯を耳に当てていると、3コール目で彼の声がした。
「……はい」
どうやら見たことのない番号からの着信に警戒しているようだ。