Fragile~思い出に変わるまで〜
そう言われて、私はなんともいえない心地良さを感じた。


彼は超能力者なんじゃないかと思うくらい、私が思っていることを察して、いつも心配しないように気遣ってくれる。


そんな人だから、あまり面識もないのに彼を頼ろうと思ったのかもしれない。


「ほんとにいつもありがとう

ちょっと主人のことで聞きたいことがあって……」


遠慮がちに本題を切り出すと、彼もすぐに真剣な声になって返事をしてくれる。


「なんでも聞いてください
どんなことですか?」


私は思いきって口を開いた。


「こないだ桜井くんに会ったとき、うちの人が元気がないって話してくれたでしょ?

その後……様子はどうかなって思って……」


なるべく離婚していることを気づかせないような言い回しで、不自然にならないように聞いてみる。


< 337 / 589 >

この作品をシェア

pagetop