Fragile~思い出に変わるまで〜
「ううん、何にもないよ!

だいぶ家では眠れるようになってるみたいだから、会社でもちゃんとやっているのか気になっちゃって……

会社でのことって、あんまり話してくれないから……

ごめんね?変なこと聞いて」


頑張って普通を装おったものの、勘のいい桜井くんには通じない。


「……言いたくないならいいですけど……

あんまり溜め込むとまた前みたいに体調悪くなるかもしれないんで……

俺、ほんとに課長にも誰にも言いませんから、ほんとに辛くなったらいつでも言ってくださいね?

ちゃんと聞きますから」


そんな優しい言葉に、思わず涙腺が緩みそうになる。


なんでこの人はいつも私の気持ちがわかってしまうんだろう?


そして彼はそれを絶対に無理矢理聞き出そうとはしない。


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