Fragile~思い出に変わるまで〜
「さとみぃ!

ここ!ここ!」


ショッピングモールの入り口で、ピョンピョン跳ねながら手を振っているのは美咲だ。


私も美咲に手を振り返し、なるべく急いで近づいていこうとすると、美咲から待ったがかかる。


「ゆっくりでいいから!
転んだらどうすんの?」


そう言って私の体を気遣い、美咲の方から私に駆け寄ってきてくれた。


「大丈夫だよ

美咲ったら過保護なんだから

でも……ありがと」


私が妊娠してからというもの、美咲の過保護っぷりは加速している。


あの遅刻魔の美咲が、待ち合わせで私を待たせることがほとんどなくなったことにも驚いていた。


でもそれだけ私を心配してくれているんだと思うとありがたい。


「じゃあ行こっか!

楽しみだねぇ」


自分のことのようにはしゃぐ美咲が可笑しくて、顔がニヤニヤしてしまう。


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