Fragile~思い出に変わるまで〜
小さいながらも俺と藤森の、この不安定な関係に気づいているんだろうか?


俺がいなくなってしまうかもしれない他人だと言うことを無意識に感じているのかもしれない。



俺はもう一度「待ってるから」と安心させるように言うと、小指を出してひなの小さな小指に絡ませる。


ひなは満足そうに微笑んで、指切りげんまんをすると、藤森に手を引かれて玄関をあとにした。


ふぅぅ……


二人を見送って玄関を閉めると、小さく溜め息をつく。


コーヒーでも飲もうとキッチンに向かいながら、これからのことを考えた。


ひなを安心させるためには、やっぱりきちんと籍を入れて戸籍上も父親になった方がいいんだろう。


いつまでもこのままってわけにもいかないし……


今夜、藤森に話してみようか?

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