Fragile~思い出に変わるまで〜
もうすぐ病院に到着するというときに、パチン!と何かが弾けるような音がした気がした。


直後に太ももを水のようなものがつたう……


――破水だ!


まずいと思った時には座席がビショビショになっていた。


私は突然のことにパニックになり、母にしがみついて叫んだ。


「お母さん!破水!破水しちゃったみたい!どうしよう……赤ちゃんが!!」


泣きながらそう訴えると、母は私の手をギュッと握って怒鳴りつけた。


「大丈夫、もう病院に着くし、先に破水する人だってちゃんと元気な赤ちゃん産んでるんだから!

落ち着きなさい!」


そう言われて少し落ち着きを取り戻せた。


そうだ、しっかりしなきゃ……


この子を守れるのは私だけだもの。


冷静になって鞄からバスタオルを取り出して、それを太ももに挟んだ。


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