Fragile~思い出に変わるまで〜
心配そうにそう言った美咲に、私はなるべく笑顔で答える。


「来る途中で破水しちゃったみたいで、すぐ分娩室に行くことになったの

でも大丈夫、心配ないから……

待っててくれる?」


「もちろん!」


そう言って美咲は私に手を振り、頑張ってと言うようにガッツポーズで送り出してくれた。


そのまま分娩室に入ると、看護師さんが子宮口がどのくらい開いてるかを確認する。


「もうだいぶ開いちゃってるから、先生呼んできますね?」


そう言い残し、看護師さんが行ってしまうと、分娩室に一人きりになってしまう。


今までずっと順調にきていただけに、出産もきっと予定通りに進むだろうと思っていた。


それなのにこんなことになるなんて……


急なトラブルに不安が拭えない。


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