Fragile~思い出に変わるまで〜
「ママぁ!
こっちにおさかながいるよ!こっちきて!はやくぅ!」
「健太!待って、ママ追い付けないよぉ」
公園の池の魚に興奮して走り出す健太は、まるで鉄砲玉のようだ。
さすがに36歳にもなると、小さいとはいえ男の子の足にはかなわない。
私はハァハァと息をあげながら、なんとか健太に追い付いた。
「健太……ママ疲れちゃった……
少しお魚見たら、そろそろお家に帰ろう?」
息を整えながらそう言うと、健太は不満そうな顔をして私に訴える。
「やだやだ!まだあそぶの!
あっちのながーい、すべりだいももういっかいすべるぅ」
最近の健太はもう一回が口癖だ。
私は健太の顔を両手で挟むと、健太にもう一度お願いする。