Fragile~思い出に変わるまで〜
全てを話し終わってから、絶句している桜井くんに改めてお願いする。


このことを健には絶対言わないでほしいってことと、職場でも今まで通りサポートしてあげてほしいと。


彼は納得いかない様子で健への不満を口にしていたけれど、私の決心が固いと感じたのか、最後には了承してくれた。


でもそれだけじゃ終わらなくて……


約束する代わりにこれからも私に連絡させてほしい、そして自分にも何かサポートさせてほしいとお願いされてしまった。


交換条件てことならのまないわけにもいかない。


健には絶対に知られるわけにはいかないんだから……


『桜井くんには迷惑をかけたくなかったの……』

その言葉に彼はかなり反発した。


『なんにも知らないで、指くわえて見てる方が、よっぽど迷惑です』


はっきりきっぱりそう言われて、私の心は決まったのだ。


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