Fragile~思い出に変わるまで〜
そんないきさつもあり、彼は三年前から毎月のように連絡をくれるようになっていた。


子供を産んでしばらくは実家にお世話になっていたけれど、翌年の4月からは保育園も決まって、申し込んでいた団地も当たった。


そしてようやく引っ越して健太と二人で暮らせることになったのだ。


それを期に10年間勤めた銀行員のキャリアを生かして、パートで働ける銀行に勤めることも決まった。


バタバタといろんなことが決まる中、桜井くんはことあるごとに連絡をくれて、引っ越しや就職先についても手伝ってくれていたのだった。


「私も健太も元気だよ?

桜井くんは?彼女出来た?」


お約束のような挨拶を返すと、桜井くんもいつものように少し不貞腐れた声で答える。


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