Fragile~思い出に変わるまで〜
「何言ってんですか!

俺はさとみさん一筋だっていつも言ってるでしょ?」


「だーかーら、28歳にもなって、こんなおばさんの相手ばっかりしてたら、ほんとに婚期逃しちゃうよ!」


私もいつものようにそう答えると、桜井くんはわざと大きなため息をつく。


「相変わらず全然俺の気持ち受け止めてくれないんだもんなぁ……」


桜井くんが私に少なからず好意を持ってくれていることには、以前から気づいていた。


でも私はそれに応えることが出来ない。


だからわざと気づかないふりをして、桜井くんの言葉を冗談として受けとるようにしていた。


それ以外にも二人きりでは会うのを避け、なるべく美咲がいるときに、鍋に呼んだり、クリスマスパーティをしたりという付き合いをこころがけている。


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