Fragile~思い出に変わるまで〜
夫の話では、どうやら先日、同窓会があったらしい。
彼の中学ではわりとマメに同窓会を開催しているのだそうだ。
けれど若くして結婚したせいで、夫の連絡先を誰も知らなかったことから、今まで声がかからなかったのだと夫は言った。
「それで連絡先聞かれたから、教えたってわけ
同窓会だと大げさだけど小規模なクラス会なら来やすいでしょ?ってさ」
クラス会のお知らせメールが届いたのは、どうやらそういう経緯だったらしい。
同窓会には一度も行ったことがない夫は、クラス会も私の手前悩んでる風を装う。
「どうしようかな……」
悩んだふりをしたってわかってる。
今回は乗り気だ。
別に束縛するつもりなんかないけど、なんとなく嫌だった。
でも……
「たまには行ってくればいいじゃない」
本当は行ってほしくないくせに、私はそう言ってしまった。
貼り付けたような笑顔を浮かべながら……
そしてそう言ってしまったことを、私はこのあと後悔することになるのだ。