Fragile~思い出に変わるまで〜
膝まづいてひなの目線に合わせると、頭を優しく撫でながら俺はそう言った。


「うん、ママもすぐかえってきたからだいじょうぶ」


そうひなに言われて、あやのことを思い出す。


ひなを連れてリビングに向かうと、ソファーに座っていたあやがこちらを振り向いた。


「健……あの……お帰りなさい

さっきは……ごめん」


そう謝るあやに、中田とのことを聞くのを我慢して、平静を装った。


「あぁ……

ひな、そろそろ寝る時間だぞ?

ママにたまには絵本読んでもらったら?」


先にひなを寝かせてからじゃないと話が出来ない。


だからあやにそう促す。


「はぁい!おやすみ、たける!」


ひなは元気よく挨拶をして先に部屋にパタパタと走っていった。


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