Fragile~思い出に変わるまで〜
その後を追うように、あやが部屋に向かおうとするのを引き止めて、小声でそっと耳打ちする。


「ひなが寝たら話あるから……

こっちで待ってる」


あやは一瞬目を泳がせて身を固くしたが、コクンと小さく頷いて、ひなの部屋へと消えていった。


しばらく待っていると、あやがおずおずとリビングに入ってきた。


俺の向かい側に腰をおろして気まずそうに俯く。


何の話なのかわかっているんだろうか?


いろいろどう切り出そうか考えていたが、結局素直に単刀直入に聞いてみることにした。


「さっき帰ってくるときに、うちのマンションの下で珍しい人を見かけたよ

あやが会ってた友達って………中田さんのことだったんだな?」


その瞬間、あやは目を見開いたまま俺の顔を凝視した。


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