Fragile~思い出に変わるまで〜
ならなんで?


そう言葉に出してしまいそうになるのを我慢しながら、あやの次の言葉を待つ。


「でも、私……

いつも不安だった

最初はひなもなついてるし、私のことも少なからず好きでいてくれると思ってた……

だから……今はさとみさんの代わりでも、時を重ねれば私を愛してくれるって……」


そう言ってから、あやは一度言葉を切って深く息を吐いた。


「でも……違った……

健は……私を見てない……

私を通り越していつもさとみさんを見てるってことに、気付いちゃったの……」


ポロポロと大粒の涙を流しながらそう言うあやを、俺は複雑な気持ちで聞いていた。


そんなことない!


そうあやに言ってあげなきゃいけないのに……


言ってあげられない自分を責めることしか出来ないでいる。


< 435 / 589 >

この作品をシェア

pagetop