Fragile~思い出に変わるまで〜
あやはそう言うと、また涙をこぼしながらにっこり笑う。


俺はこんな表情を昔に見た気がした。


そうだ……さとみだ。


あの時、俺に別れようって言った時、さとみもこんな表情をしてた。


何かを決断した時の……決意の表情だと思った。

あやは何かを決断したのかもしれない。


そう思いながらあやの顔を見て様子を窺う。


「あのね?

これは絶対健には言わないでくれって、ほんとは口止めされてたんだけど……

あの日……健が荒んだ生活をしててどうしようもなかった時、何で私が健の所に行けたかわかる?」


俺は全く見当もつかず、誰に何を口止めされたのかが気になった。


「いや、ただあやが心配して様子見にきてくれたんだとしか……」


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