Fragile~思い出に変わるまで〜
そう言うと、あやは悲しそうに微笑んで、覚悟を決めたように答える。


「私が何で合鍵持ってたと思う?

あの前の日に……さとみさんの友達って人から、さとみさんからの手紙を渡されたの

その中に……合鍵が入ってたんだよ」


「……え?」


なんで……さとみが?


驚いて言葉の出てこない俺に、あやは容赦なく続けた。


「手紙には、自分たちが離婚したこと……

私やひなが健を必要だとわかったこと……

健も二人の力になりたいと思ってるだろうこと……


そして今……健が荒んだ生活をしているのを助けてあげてほしい…って書いてあったの」


俺は愕然とした。


さとみはどこからか俺が酒に溺れて自暴自棄になってることを知ったんだろう。


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