Fragile～思い出に変わるまで〜

それでも助けられるのは自分じゃないと判断して、憎んでもいい相手のあやに手紙と合鍵を託したんだろうか？


今更ながらに、さとみの俺への深い愛情を再認識する。


胸の奧から熱いものがこみ上げてくるのがわかった。


その様子を見て、あやが俺に引導を渡す。


「健……わかったでしょ？

健はまださとみさんを愛してる

私とのことは、中学の頃の淡い恋心止まりだったんだよ

そこからは何も生まれなかった……

健が私と結婚したのは、私のためじゃない

ひなのためだって……わかってたのに……


だけど認めたくなくて、三年も健を縛っちゃったね？

ごめん……」


俺は訂正することも出来ずに呆然とあやの話を聞きながら、ようやく声を絞り出した。