Fragile~思い出に変わるまで〜
「俺はあの時……

さとみに出ていかれた寂しさを、あやとひなに癒してもらって、この安らぎを手離したくないって……そう思ったんだ」


それは本当だった。


あの頃の俺を救ってくれたのがあやとひなであることは、自分が一番よくわかってる。


だからうまくやっていこうって思ってたし、二人を大切にしてきたつもりだった。


「でもそれは愛情からじゃなかったよね?

私への感情は同情だったんだよ……健……

ひながあまりにも健になついてたから決心がつかなかったけど……

今日……話し合えてやっと心が決まった


健……今までありがとう
もういいよ?

私たちは大丈夫だから……

さとみさんの所へ帰ってあげて?」


あやはもう泣いてはいなかった。


揺るぎない覚悟の上でそう言ってるんだと感じた。


皮肉なことに、そのあやの顔は、まさにあのときのさとみのものとまったく同じものだった。


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