Fragile~思い出に変わるまで〜
そして俺自身も、もうあややひなに寄りかからなくても大丈夫なほど、彼女達に癒されていたことに気づく。


俺達はお互いが依存しあって寂しさを埋めていたに過ぎなかったんだなと改めて思った。


いつかはこうなる運命だったのかもしれない。


ただ……ひなのことだけが、やはり一番の気がかりだった。


『いつでも遊びにおいで?』


ひなの髪を優しく撫でながら放ったその言葉は本心だった。


彼女をまた父親のいない子にしてしまう後ろめたさもあったけれど、それよりも自分が離れがたかった。


三年もほとんど父子家庭のような生活をしていたんだから、情がわいても仕方がないと思う。


俺にとってひなは、すでに本当の娘のような存在だ。


ひなは目に涙をいっぱいためて、うんと何回も頷いてくれた。


< 445 / 589 >

この作品をシェア

pagetop