Fragile~思い出に変わるまで〜
「いたんですけどねぇ?

あはは……こないだあっさりフラれちゃったんですよ」


初耳だった。


俺は驚いて桜井に詰め寄る。


「えっ!?そんな相手がいたのか?

しかもフラれたって……」


「もういいんですよ

ほっといてください!

キッパリ諦めましたから……

あ、もうそこ!触れないでくださいね!」


大げさにガックリしたポーズをしてそう言った桜井は、詳しいことは俺に言いたくないようだ。


「わかったよ

でもまあ、あれだ!

俺もフラれたようなもんだし、お互い前向きに頑張ろうぜ?」


だからそう励ましてみた。


事情はわからないけれど、フラれたことには変わりはないと思ったから。


それなのに、桜井は大きく溜め息をついて、俺を睨む。


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