Fragile~思い出に変わるまで〜
「桜井、今日たまには付き合わないか?」
仕事が珍しく早く終わったので、呑めないくせになんとなく桜井を誘ってみた。
一瞬、驚いた顔をした桜井は、すぐにいつもの調子で答える。
「いいですよ
どしたんですか?
珍しいっすね?」
「いや……お互い昇進したことだし、たまには……な?
お祝い、みたいな?」
なんだか気恥ずかしくてしどろもどろになりながらそう言うと、桜井がニヤニヤしながら口を開く。
「えー!?お祝いしてくれるんですか?
やった!部長のおごりか」
やっぱり……こいつを誘ったのは間違いだったかな……?
溜め息をつきながら横目でジロリと桜井を見ると、念を押すように確認してくる。
「お・ご・り!ですよねっ?」
あまりにもおおはしゃぎしている桜井に、俺はだんだん腹が立ってきた。