Fragile~思い出に変わるまで〜
健はもう、自分の足で違う人生を歩んでいるんだ。


それなら私は今まで通り、健の幸せを願うだけでいい。


少しだけ気持ちの整理がついて美咲を見ると、考え込んでいた私を心配そうに見つめていた。


「どした?大丈夫?」


私は静かに頷いて、平気なふりをしてにっこりと微笑んだ。


「もしあんたがまだ健を思ってるんなら

向こうは離婚して一人なんだし

もう障害があるわけじゃないんだから、こっちから連絡してみたら?」


簡単に言ってくれる……


そんなことできるわけがない。


「無理だよ……

だって私から出ていったんだよ?

あの時……
私は健から逃げたの……
自分があれ以上傷つきたくなかったから……

いまさら連絡なんて……できないよ」


< 466 / 589 >

この作品をシェア

pagetop