Fragile~思い出に変わるまで〜
みいちゃんとは美咲のことだ。


健太は小さい頃からそう呼ぶように美咲からしこまれていた。


ふと気づくと、健太が私の手を握っている。


カッコつけたいのと、甘えたいのが混在する歳なんだろう。


こういうところが最高に可愛いと思う。


女親が男の子を溺愛する気持ちがよくわかる。


健太の手をギュッと握り返して、美咲のいる駐車場へと急いだ。


駐車場に着くと美咲が待ちくたびれたように車の前で待っていた。


「遅ーい!
人に荷物持たせといて、何やってたのよぉ」


そう口を尖らせながら怒る美咲をなだめるには、健太が効果的だ。


「健太、みいちゃんにごめんねってチューしてきて?」


耳元でそう囁くと、健太は素直に美咲の元に近づいていく。


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