Fragile~思い出に変わるまで〜
そこには桜井くんと、もう一人彼の後ろに友達であろう人が顔を覗かせていた。


「――っ!」


えっ?


その人を見た瞬間、心臓が跳ね上がる。


た…ける……?


向こうも知らなかったのだろう。


私の顔を見て目を見開きながら凍りついたように動かない。


そんな私たちを見て、ニヤッと含み笑いをした桜井くんが、わざとらしく紹介し始めた。


「こちら、俺の上司で大沢さんです」


健の方に手を翳しながらそう言うと、今度はその手が私の方を向いた。


「部長!こちら、俺の友人のさとみさんと美咲さんです」


固まったままの私と健を見ながら、桜井くんはにんまりと笑う。


「桜井!遅いよぉ

荷物持ちがいないから大変だったんだからね?」


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