Fragile～思い出に変わるまで〜

健太が私を呼びながら、こちらへと走り寄ってきた。


「ママー！
このおじさん、ママも知ってる人？」


私達の様子を見て疑問に思ったんだろう。


健太がそう聞いてくる。


「マ…マ……？」


チラッと健の方に目をやると、案の定固まって私と健太を交互に見比べながらそう呟く姿が見えた。


私は何気ないふりで健太の質問に答える。


「うん、そうだよ？

昔ね？ママがまだ大学生だった頃からみいちゃんと三人でお友達だったんだ」


「そうそう、健太！
みいちゃんも知ってるんだよぉ
そのおじさんのこと！」


美咲も調子に乗っておじさんをよばわりしながら、健太にそう説明した。


それを聞いて少しだけ安心したのか、さっきの緊張した様子はなくなり、いつもの元気な健太に戻る。