Fragile~思い出に変わるまで〜
花見当日――
とうとう桜井と男二人きりの花見の日がやってきた。
なぜか家の前で桜井の迎えを待っている自分が、恥ずかしくなってくる。
なんなんだろうな?このシチュエーションは……
はぁぁぁ……と大きく溜め息をついたちょうどそのとき、桜井の車が俺の前に横付けされた。
運転席の窓が下がり見慣れた顔が現れる。
「おはようございます!
あれ部長?……なんか元気ないですけど大丈夫ですか?」
こんなときでも相変わらずテンションの高い桜井に呆れながら、大丈夫だから気にすんな……とぶっきらぼうに答えて助手席に乗り込んだ。
今さら二人で行くのが恥ずかしいなんて言えない。
「で?花見ってどこ行くんだよ」
車が走り出してすぐに、とりあえず行き先を聞いてみる。