Fragile~思い出に変わるまで〜
桜井はそんな俺の質問には答えずに、違う話を振ってくる。


「俺、前に好きな人に振られたって……部長に話したの覚えてますか?」

唐突に聞かれて俺はうろたえた。


瞬時に頭を巡らせあのときの桜井の言葉を思い出す。


「あー、なんかそんなこと言ってたな?

好きな人がいたってのも初耳だったからビックリしたよ」


それがなんだというんだろう?


さとみのことと、何か関係があるんだろうか?


俺の答えを待たないまま、桜井は寂しそうにポツリと言った。


「それ……さとみさんなんですよ」


「――ッ!」


さ……とみ?


桜井が好きなのはさとみだっていうのか?


しかも……フラれたって……


俺は桜井の告白に動揺して、息を呑んだ。


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