Fragile~思い出に変わるまで〜
自分じゃだめなんだと……


チャンスのある俺が、なんで傷つくのを恐れて気持ちを伝えないんだと……


さとみを幸せに出来るのが自分じゃないことへの悔しさが滲み出ていた。


確かに俺は今まで自分が傷つかないようにしてきたのかもしれない。


さとみやあやや桜井に支えられながら、ぬるま湯に浸かってフラフラと……手を差し伸べてくれるところへ……


居心地のいい場所へと渡り歩いていただけだったのかもしれない。


本気で自分の気持ちを相手に伝えるということが、こんなにも難しいなんて……


桜井の言う通りだ。


俺はさとみを自分が幸せに出来なかったことが悔しかったんだ。


子供がいたって丸ごと愛せるくらい本気でさとみとよりを戻したいと伝えるべきだった。



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